(本名 Mary Isobel Catherine Bernadette O'Brien )は
イギリスが生んだ、偉大な白人ソウル・シンガーの1人です。
メアリー・オブライエンは、1939年4月16日、ロンドンの
西ハムステッドで生まれました。
1958年に、イギリスのヴォーカル・グループ、「ラナ・
シスターズ」に加わり、プロの歌手としてデビューします。
1960年には、兄のディオンとティム・フィールドの3人で、
フォーク・トリオの「ザ・スプリングフィールズ」を結成し、
そのときからメアリーはダスティ・スプリングフィールドと
名乗るようになりました。
「スプリングフィールズ」はイギリスの人気グループと
なりますが、全米ツアーの際に訪れたテネシーで、
モータウン・サウンドに接し、ダスティはその虜となり、
1963年にスプリングフィールズを脱退して
ソロ・シンガーに転じ、「I Only Want To Be With You」
(邦題:「二人だけのデート」)でデビューします。
「I Only Want To Be With You」は、全英最高位4位、
全米最高位5位の大ヒットとなりました。
彼女はもともと黒人への偏見のない人で、ニックネームが
「White Lady of Soul」と呼ばれるほどモータウン・サウンドを
次々とイギリスに移植し、より洗練された、気品のある
親しみやすいソウル・ポップに仕立て、当時のヒット・
チャートを席捲し、白人女性ソウル・シンガーの第一人者と
なりました。
また、円錐形に結い上げたブロンドの蜂の巣ヘアーと、
「パンダの目」とも呼ばれた濃いマスカラは、彼女の
トレード・マークとして、これもまた有名となりました。
1964年には、バート・バカラックとハル・デヴィッドの
コンビによる「I Just Don't Know What To Do With Myself」
(恋のとまどい)が全英で最高位3位になります。
1966年には、「You Don't Have To Say You Love Me」
(この胸のときめきを)が、彼女にとって初の
全英1位に輝き(全米では最高位4位)、ついにダスティは、
キャリアの絶頂期を迎えました。
1967年には、映画「007カジノ・ロワイヤル」の主題歌
「The Look Of Love」(恋の面影〜カジノ・ロワイヤル)
を歌い、同年のアカデミー賞主題歌賞にもノミネート
されました(全米22位)。
1970年代のダスティは、数々のレコード会社を転々とする
こととなり、精神的にも不遇の時代でした。
1983年に、ダスティはロサンゼルスで、長年のドラッグと
アルコール中毒を克服します。
1986年、以前からダスティを敬愛していたペット・ショップ・
ボーイズとレコーディングした「What Have I Done To
Deserve This?」(とどかぬ想い)が、全英と全米で、
共に最高位2位を記録するという大ヒットとなりました。
ダスティにとって、これはアメリカのヒットチャートにおける
過去最高の記録でした。
1994年、アルバム「A Very Fine Love」の発表後まもなくして、
ダスティは乳ガンと診断され、手術を受け、一時は快方に
向かったものの、1997年に再発し、1999年3月9日、
59歳で、この世を去りました。
ダスティがロックの殿堂入りを果たす、5日前のことでした。
彼女の死の直前には、彼女の長年の音楽界への貢献を讃え、
大英帝国勲位(OBE)が彼女に贈られています。
1965年第5回サンレモ音楽祭入賞曲の「この胸のときめきを」
(Pino Donaggio作)
車(ist)のCMに使用された「スプーキー(Spooky)」も
オシャレで素敵な曲でした。